近影の白樺樹皮2

ゴールデンカムイでお馴染み、焚き火と薪には天然着火材シタッを!

近影の白樺樹皮2

ゴールデンカムイ皆さん読んでますか?見てますか?私は漫画もアニメも大好きです。劇中でもアシリパさんと杉元が暖を取るときに使っていた「シタッ(白樺の樹皮)」を実際に焚き付けとして使っています。道民には馴染みのある木材で、そのコツを動画と合わせてご案内!


あなたの白樺はどれ?


白樺と言うと1種類だけを想像しますが、日本では3つの種類が自生していてそれらをまとめて「シラカバ」と総称しています。実際に見てわかる…というよりは薪の材料にするため切ったり割ったりしていると、それぞれに差があるので加工時に気付くレベルです。

  • シラカンバ(真っ白な木肌)
  • ダケカンバ(シラカバより荒い)
  • ウダイカンバ(樹皮が厚い)

私が見分けられる種類がこの3つです。樹木札が付けられている木を見ると「シラカバ」ではなく「シラカンバ」という表記になっていて、実は”カンバ”が正しい名称になります

私が実際に使ったり、調べる限り上の3種類の中で一番焚き付けに適しているのは「ウダイカンバ」です。どのシラカバでも着火できるのですが、含まれている油分やその樹皮の厚さが異なり、ウダイカンバが一番樹皮が厚く、油分も多いと感じます

和名:シラカンバ
アイヌ語名:レタッタッニretat-tat-ni(白い樺皮のとれる木)等

和名:ダケカンバ
アイヌ語名:カムイタッニkamuy-tat-ni(神の樺皮がとれる木)等

和名:ウダイカンバ
アイヌ語名:シタッニsi-tat-ni(本当の樺皮がとれる木)等

道産木材データベースより引用

またアイヌ語でもウダイカンバ自体が”シタッニ“との表記ですので、焚き付けとしての「シタッ」はこのウダイカンバから来ていると考えられます。といってもシラカバという樹木種自体が油分を多く含んでいるため、どの種類の樹皮でも焚き付けには使えるでしょう。
※シラカンバの白い紙みたいな表皮は薄すぎて、火持ちが悪く使えません。


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シタッの威力が分かる動画

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2分弱の動画です。後ほど着火の様子をお伝えするものをアップしてあります。結構火力が維持されているのと、マッチ一本で確実に着火出来るのが素晴らしい一品。石油系の着火剤にも負けてません。


シタッの作り方

私は白樺樹皮だけを目的として採取してはいません。入手は安定しないのですが原木調達時に「シラカバが有るか否か」という形で、偶々あればそれを有効活用しているという状況です。と言っても、去年のシラカバ原木の樹皮が60L近い大型の袋4袋程度になりまして、未だ2袋有る状況なのでなかなか減っていません。毎日使ってるのですが不思議(笑)

その作り方に特別なことは必要ありません。

  • シラカバの樹皮を剥がす
  • シラカバシートを乾燥させる
  • 使いやすい大きさに千切る

これだけです。
薪を購入・調達したときに混ざっているシラカバの樹皮を剥がして、シラカバシートを作ります。この時細々と剥がすよりも原木の樹皮を二分するように縦にハンドアックス等で切れ目を入れると、原木の樹皮をまるっと一周剥がす事ができます

そうすると下の写真のような「シラカバシート」が出来ますので、これを乾燥させます。ちなみに乾燥は初夏〜秋口に取り出してもその冬に使えるので、厳密に乾燥期間を1年以上置く必要はありません。もともとが樹皮なので乾燥しやすいです。

橋がめくれ上がった白樺の皮
乾燥させると巻物の様にクルクルになります。

シタッ加工の様子

続いて、実際の加工の様子を…といっても本当に「手でちぎる」だけです。コツが一つあるとしたらそれはシラカバ樹皮の「繊維方向に沿う」と簡単にパリパリッと裂けていきます。

手で二分割された白樺樹皮
巻き上がってちぎれた白樺樹皮
A3一枚で山のように出来るシタッ

このように「手で簡単に」ちぎって作れます。玉切り材1本だと約A2(A3二枚)程度採ることが出来ます。それらをちぎると上の写真の様に山盛りになり、だいたいこれで1週間以上の焚き付けとして使える量です。


シタッでマッチ一本焚き付け

今回も我が家の通常焚き付けである「上から着火方」で焚き付けています。上から着火方のメリットや実際の着火の様子をまとめた記事もありますので、参考にしてみてください↓

銭屋工芸社

多くの方が気にされるであろう薪ストーブと昨今の住宅事情。札幌の住宅地に家を建て5年、薪ストーブを使い続けて来た本音とその…

<今回使用した材料>

  • 横3㎝×縦6㎝サイズのシタッ:3枚
  • 焚き付け用細割薪:2本
  • 焚き付け用中細薪:2本
  • 焚き付け用中太薪:5本

以上です。我が家では焚き付け時の大半の木種を「シラカバ・ハンノキ」等の火が付きやすく、瞬間火力が高いものを使っています。実際の火の回り具合は上の動画をご覧いただけると分かりやすいです。

<焚き付けの流れを写真で>

◇焚き付け準備

拡大した白樺の皮と薪ストーブ
こんな感じのシタッを使います。

◇着火はマッチ一本でも着実。

マッチで薪に着火
マッチ一本。

マッチを擦って、その火種をシタッに近づけるとあっと言う間に火が移っていきます。そして、火が移った地点からゆっくりと延焼してくれるので一種の「導火線」の様に使っています。

最初に火を付けたシタッは、火がつけやすい様にワザと手前に引っ張り出しています。そこから導火線の様に火がシタッを伝って、組み上げた薪の中央に配置してあるシタッにさらに火が移っていくようにしてあります。

マッチをつけてから3〜4分程度で…

この様にたった3枚の白樺の皮だけで、確実に焚き付けを行うことができます

また、ちょっと番外編として…

我が家ではシタッを正確にそのサイズにしている…という状況ではなく大体名刺サイズにしています。しかし偶に私たちが「松明」と呼ぶビッグサイズのシタッを使うことがあります。と、いうのも乾燥の際に丸まり過ぎて巻物の様になったものは、手でちぎる事がとても難しいので「そのまま」ストーブに薪として突っ込んでます。これがまた良く燃えるもので、その様子を見てから「松明」と名付けて使っています。

実際に鵜飼が仕事をするときの松明として使ったとか使わないとか…(笑)しかし実際それに近いくらい燃えていきますし、むしろこれは「薪」と呼んでも差し支えがないくらいのものだと思っています。


まとめ

  • 白樺の3種を総称してシラカバ
  • 焚き付けはどの木種でもOK
  • オススメはウダイカンバ
  • シタッは手でちぎるだけ
  • 3枚で焚き付け出来る
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天然の着火剤として有名ではありますが、予想以上に優秀です。石油系の着火剤もありますが、もし白樺の薪を見かけたら樹皮を剥がして使ってみてください。面白いですし、自然の力と先人の知恵に驚かされる事間違いなしです。ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

それではよい薪ストーブライフを!

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