灰の塊であるクリンカ、厄介者なのかそれとも受け入れるべき相手なのか…クリンカの生成方法と薪ストーブの使用方法を比較しながら付き合い方を考えました。どうしたら良いのかお悩みの方も一緒に考えてみませんか?
灰の塊をどう考えるか
私の結論としては…
放置‼︎
です!!
マジかよ…灰の塊を放置って大丈夫なの?って思いますよね。
ケースバイケースではありますが、少なくとも私の使用方法でJOTUL製の薪ストーブであるF163においては問題ありません。
実際に2017年〜2019年に掛けてクリンカを取り除いたのが「薪ストーブを使わなくなった時」だけ。
私の場合は年1回です。
実際には薪ストーブの使い方次第でクリンカを取り除くべきケースってあるのですが、それは後述していきます。
クリンカを取り除かなくても良い理由
上の二枚の写真を見比べると何となくお分かりになると思います。
クリンカが減っているのです。
と、言うのもいくつかの理由があって大きなところでは…
そもそもが薪ストーブのクリンカは脆い。
わけです。
ここをヒントにすると答えにたどり着きやすくなります。
この灰の塊であるクリンカが生成される理由は下にある記事で、木材から産出される灰分の組成成分の記載がある論文を元に考察しています。なかなか灰の組成成分と融解温度を比較した記事は見ないので、面白い方には面白いと思います(笑)
別記事:薪ストーブの灰塊の正体。
- クリンカ生成の融解温度には到達しない
- 軟化してくっ付きやすくなっている
- すなわち「脆い構造」の灰の塊
という考えを持っていまして私が日頃何をしているかと言うと
「焚き付け時に灰慣らしを行う」
と言う事です。
なんだ普通やんけ…と思いますよね。
そうなのです、基本のキです。
ただちょっとしたコツがあって灰の表面を滑らかにする…のではなく「底をさらう感じ」で灰を耕す様に一番底をかき上げる様に慣らします。
さらに、この際に灰の塊があれば灰慣らし棒で「砕いて」しまいます。
殆どこれだけでシーズン中にクリンカの撤去作業をしなくて済みます。じゃあなんで写真のクリンカが出来ているんだよ⁉︎と、言うところなのですが…
その、なんと言うのか…灰慣らしを2週間程サボったからです…(*´꒳`*)
…ほら、クリンカが出来ても取り除く必要がある量ではないですし、そもそもが脆い構造なので、後で灰慣らしを行うだけで砕けて小さくなってなっていくか、大きさが変わらない状況で使い続けられますからね…
クリンカに期待する利点がある!
実はクリンカが多少できても放置している理由が他にもありまして、実はクリンカメリットがあるのでは…と考えているのです。
大半の方が「邪魔者」「取り除いた方が良い」というご意見をお持ちだと思います。しかし私なりにこのクリンカを残している理由は、大した増えないということ以外に…
薪への火付きが良くなるかも。
と言う事なのです。
クリンカの上に薪が乗っかる事で「薪が宙に浮く」状態となり、薪ストーブの底に直接触れず、隙間が増える事で空気の流入量を妨げ難くなるのではないか?と考えています。
と、言っても巡行運転時では薪を追加する時に「熾の上」に薪を置く事になりますので、あくまでも焚き付けの時だけ…という限定的な理由です。
灰の塊を取り除くべき場合
クリンカは放置で良いと言う部分について触れていきましたが、実際にシーズン中で「取り除かなくてはいけない」場合があります、それはクリンカが…
- 時間と共に大きく(増える)なる場合
- 砕けないほど硬いものが生成された場合
です。
私の場合は「砕ける硬さ」のクリンカが生成されていますので、それ以上大きくならないですし、砕けて消滅していきます。
これらが逆に「大きくなっている」「硬いクリンカが出来ている」様であれば、それは超高温で薪ストーブを運転し続けている状態で、それがあなたの通常の運転方法であると考えられる為、どんどん増えていくはずです。
そうなっては自然消滅や手を加えて砕くことも出来ないので、強制的にクリンカを取り除いてあげる必要があります。
この場合はストーブの性能にもよりますが
- 過剰燃焼の可能性がある
- 空気調節量を見直す必要がある
と考えた方が良いかもしれません。
次にその理由を順にお伝えしていきます。
クリンカと過剰燃焼と空気の関係
クリンカの生成条件は「超高温」である事。
と、考えています。
通常の熾の巡行温度では、割れなくなるほどの物は生成されにくいはずです。そこを突き詰めるとやはり「超高温(1000℃近く)」が大きな理由です。
しかし過剰燃焼といってもその実「その熱量モッタイナイよ!」という事であって、ストーブが痛む…程ではないと考えています。その理由が…
- 1000℃前後の熱は必要ない
- 7〜800℃で十分暖かい
- 鉄の融解温度は1500℃程度
1000℃近い超高温の状態は上の写真の様に「熾が白く燃えている」状態です。しかし、熾自体の安定している温度は7〜800℃の「赤〜オレンジに燃えている」状態です。
薪ストーブの使用想定は「巡行温度」での運転が基本ですので、この熾温度7〜800℃に合わせて企画されています。その使い方でスペック通りの熱量が得られる状態ですね。
それを踏まえても1000℃近い温度で薪ストーブを運転する必要はありません。はっきり言えばその熱量はあなたの「あったけぇ〜時間」を縮めるだけです。
もし熾火になって「熾から炎が立ち上がっていた」場合、局所的に1000℃近い状態になってクリンカを生成する状況になりますので、空気調節レバーを絞って安定させましょう。
そもそも熾の燃焼に空気は少なくて良いので、炎を上げている様な燃焼では「刀でも作るのか」という状況に近く、あくまでも薪ストーブですから、適切な空気を送り込んで対応していきましょう。
因みに私は熾火ができたら9割くらい絞ってます。それで天板温度200℃以上を維持できるので、暖房機能として問題はありません。
それがクリンカも生成しにくく、且つコスパが良い方法になります。
また、一部ストーブではガラスに触媒加工されているものがあるため、過剰燃焼が続くと触媒が痛む場合がある様です。ただ、ストーブ自体はご存知、鉄製ですので損害が出るほど痛む…という事は少ない様に思えます。
まとめ
- 灰慣らしでクリンカの種を砕く
- 増えない様なら撤去不要
- 増える様なら撤去がオススメ
- 硬い塊なら燃焼時の空気調節を見直す
- 熾火の炎は過剰な熱量ののサイン
- うまく調節で燃費向上も見込める
クリンカ一つで色々な事がわかります。
貴方がお使いの薪ストーブでクリンカは出てきているでしょうか?多少なれど出ているはずです、そのクリンカの状態を見て改めて薪ストーブの使い方を見直してみましょう。薪ストーブって奥が深いですよね。
みなさまの参考になれば幸いです。
それでは良い薪ストーブライフを!(挨拶)