多くの方が気にされるであろう薪ストーブと昨今の住宅事情。札幌の住宅地に家を建て5年、薪ストーブを使い続けて来た本音とその解決方法をお伝え。これから薪ストーブの設置を検討されている方にご参考になれば幸いです。
※追記 後日別記事で、着火から巡航運転までの薪ストーブと煙突から出る煙の動画を撮影して、編集してみました。ご参考にどうぞ。
薪ストーブの煙突から出る煙とニオイ
多くの方が気にされると思います。気にしない方は広大な土地を所有されている一部の方のみでしょう。
札幌での施工ですから、我が家は中心部から外れているものの住宅地です。割と慎重に考えていました。施工前では業者さんに「いや〜最近の薪ストーブはそんなに出ないですよ。」と言われましたけど、最近も何も知らんし…という感じ。
皆さん、煙突から出る煙・ニオイってどう思います?程度の差はあれど気にする程はでないでしょうか?
ねじお的に言えば…
やっぱり煙は出るし、ニオイもする。
わけです、当たり前なんですけどね。
いくら二次燃焼システムや触媒効果等の昨今の技術を使っていると言っても、結局「燃やしている」わけですから煙突トップから煙は出て行きますし、何かを燃やしている様な匂いがします。こればかりは、どうしようもありません。覚悟してください、腹を括りましょう。
例を挙げると…寒い冬の日、同居している私の親が帰宅した際「いや〜バス降りたら何かこう、木を燃やした様な良い香りしてたけどウチだったのね〜」と。焦りましたよ私は。
バス停は徒歩圏内にありまして、話を聞くとこの辺一帯そのニオイがしたと…それはほぼ間違いなくウチです。“良い香り”と思ってくれれば良いですけど、燃やしたニオイですからね。人によって感じ方は様々なわけで「臭い」と思う方だっているはずです。実はその時ちょうど焚きつけに失敗してしまって、だいぶ燻ってしまったんですよね…
なんとかそうならない様に試行錯誤した所、解消はしませんが「軽減」は出来ます!!
着火を確実に如何に早く火を回すか。
これ一択です。
そもそも一番煙が出るタイミングは「焚き付け」の時です。火の勢いは弱いですし、薪自体も暖まっていないので中々着火せず、結果煙が出ます。不完全燃焼だと煙が多く出るイメージ…というのは何となくお分かりになるのではないでしょうか。ですから、着火の際は燻るような着火ではなく「確実」に火が回る方法を模索しましょう。
私のオススメはズバリ「上から着火」です。
何が良いかと言うと良くある着火の手順は…
- 細い枝の上に中細くらいの枝・薪を焚べる
- 火が中細に移ったら更に太い薪を焚べる
- 太めの薪に火が回ったところで、薪を追加
と、いう燃料に対して「下側」に炎がある着火方法が主流でしょう。しかしながらこれでは、常に薪に対して下から熱が与えられる為、簡単に言えば大きな炎になるまでず〜っと木を燻る事になり、煙が出続けます。
しかし上から着火法では…
- メインの太さの薪を一番下に組む
- その上に中太薪を組む
- さらにその上に小割(枝)・中細薪を配置
と、いう形で最初から全ての薪をくべておける為、薪を追加する手間が省ける上、炉内の最上部で着火している事から、たとえ薪から煙が出てきたとしても、上部に炎がある為その煙を燃やしてくれます。イメージとしては上から燃え広がっていく感じで、やってみると自然な着火方法である事に気がつきます。
着火後の火の回り方をタイムラプスで撮影してみました。暑すぎて途中で退散してます…
分かりにくいのですが、この焚きつけ方法だと燃焼中にほとんど煙は見られません。また、焚き付け時に出た炉内天井に付いている黒いススが、高温で焼け切れているのもお分かりいただけます。
暑すぎて撮影困難でしたが、この後鎮火することもなく全体に火が回っています。そして最初から薪を組み付けてから焚きつけているため、薪の追加が一手間減るので2時間前後はそのままでいけます。
焚きつけから2時間後でも、しっかりと熾があるので空気調節だけで、追加の際こんな極太ナラ薪でも簡単に火が移っていきます。
着火の注意点とテクニック
上から着火する事で煙とニオイと軽減できる事はお伝えしました。ここからはさらにその前段階の「着火方法」についてお伝えしていきます。
①新聞紙やニオイが出る物は使わない。
着火の際に気をつけなくてはならないのは「新聞紙」を使わない。ということです。手軽な着火剤として有名と思いますが絶対にNGです。なぜかと言えば、燃えカスが煙突から飛散する可能性があるからです。
ある日、庭が雪で真っ白な中、点々と黒いススの様なものが落ちていました…そんな事は今まで無かったのですが、色々確認していった所その日に限って着火の際に固く絞った新聞紙を使ったらしく、一部が煙突から出て行ったと考えられました。煙突から外に出る可能性は低いように思えますが、万が一でも隣接される住宅の庭に舞ってしまったり、車を汚すような事態は避けなくてはなりません。
また、灯油など燃やすことで独特のニオイが出そうなものは使わない事も大切ですね。
②積極的に軽い木材を使う。
案外最初のうち自分で調べるあまり取り憑かれてしまうのが…
薪はナラやカエデ等の硬い木(比重が高い木)の方が良いと言う妄信。
当初私もそうでした…本にもネットで調べても
“やっぱりナラが一番” “重い木の方が熾(おき)が残って暖かい”等の情報が大多数を占めています。それは間違いではありません。
ただし、焚き付けにおいてはそれら硬木は、その比重の高さゆえ火が付きにくいのです。
ですから巡航温度に入っている時や、焚き付け時の一番最後に燃える薪としての配置では優れた効果を発揮しますが、焚付け時には燻してしまう場合があります。
そこでテクニックの一つとして…
焚付け時には燃えやすい木種(シラカバ・ハンノキ等)を使う。
これらはよく「ミックス薪」なんて呼ばれてます。5年使っていてむしろこのミックス薪の方がちょっと安いし、火が付きやすいし、自分で細割にする際割りやすいし…とメリットの方があるのでは…とまぁそれはまた今度にしておいて。焚き付けでは率先して、これらの比重の軽い(持ったらわかります、圧倒的にナラやカエデからみると軽い)木種を使用すると、焚付けでは苦労する事はありません。
本当に簡単に火が付くので、煙が出る時間が短くすることが出来ます。
③乾燥した薪を使う。
そうそう、よく乾燥した薪を使いましょう。湿気てると着火しにくく煙は大量・温まらないので何も良いことはありません。
これ、結構意識されていないのかな〜と思われる方いますね…たま〜に通る道路に面した薪ストーブのお家は、何時通っても煙出てまして…風向き悪いと道路に煙が来てしまい、一帯が野焼き直後みたいな状況になってます…薪ストーブを快く使うためにも各ユーザーが気を付けていくべき所と思います。
いくら薪ストーブが良いものだと言っても、まだまだ「特殊」なのは変わりません。少しでも周りからの理解があるか無いかでは、万が一の際の対応は大きく変わってくるのではないでしょうか。そこで次に…
薪ストーブ設置を近隣の方々にご説明しましょう。
私は住宅施工の際、近隣住宅の方々へご挨拶がてら「薪ストーブを取り付ける住宅を建てますが風向きなど状況によっては、煙とかニオイがあると思います。窓が開いている時などには使わないようにしますが、何か気になることあれば直ぐおっしゃっていただければと思います。」と事前にお伝えしています。
何も挨拶も無く、いきなり真っ黒くて大きな煙突がある謎の家が建つと「いったい何なのだろう…パン屋?」とか、大量の薪を保管しているところを見て、不安な気持ちなるのではないでしょうか。ほんの一言お伝えするだけでも理解を得やすくなると思います、結構大切。
これらを守る…というか自分なりに工夫した着火方法や、薪の追加方法を見つける事ができれば、煙が出るのは焚きつける10分程と薪を追加したタイミングだけです。あとは「なんだか熾き(おき)になってるのに、モクモク煙突から出てるな〜」なんてよく見て見るとそれは湯気(熱気)ですのでお気になさらず。
まとめ
- どうやっても煙突から煙やニオイは出る
- ただしやり方次第で「軽減」は出来る
- これが早いという着火方法を見出す
- オススメは上から着火方法
- 新聞紙やニオイの出そうなものは使わない
- 薪は乾燥したものを使う
- 窓が開く時期・時間帯には使わない
- 近隣の方々へ薪ストーブ設置をお伝えする
使っている方からすると仕方がない事ですが、周囲の方々からするとデメリットと捉えられる事は無いとは言えず、薪ストーブにとって煙とニオイは避けて通れませんでした。
しかしながら「こっちは薪ストーブだから煙が出るのは仕方ないんだ!法律で規制でもされてるのか!?」と権利を主張するのでは無く、自分なりで構わないと思いますので配慮を持って気を付けながら使う…という事が最もリスクを回避できる事だと思います。
皆が心地よく生活できるよう使っていきたいですね!
※因みにねじお家は、ここ6年使用してますが苦情はありません。それと案外好意的な方もいて「実際暖かいの?電気とどっち安いの?」とか「停電の時にいいわよね〜ウチも検討してるの」「昔は使ってたんだよ〜うちの死んだ爺さんが好きでね〜」とか言っていただくこともありました。そんな話題で話が出来るのも薪ストーブの魅力かもしれませんね。
それでは良い薪ストーブライフを!(挨拶)