薪ストーブを検討されている方向け。ストーブのメンテで一番頻繁なのは正面のガラスです。世間ではケミカルやエコなクリーニング材の販売がある中、本当にそれらが必要となるときがあるのか否か。写真と共にわかりやすく解説してみました。
■本記事はJOTULのF163(私が使用しているストーブ)を元に記載してあります。機種によっては当てはまらない場合もあります。ご留意ください。
3週間毎日使ってこれくらい。

敢えて3週間掃除をせず使ってみました。
この間にスペアリブを焼いたり、サービングポッドではなく肉塊をそのままブチ入れたりしているので割とハードな使用です。シーズン初めは楽しくて結構スパルタになってしまいます(笑)
灰の付着と、ガラス面下部が茶色のタール状の汚れがあるのが分かるでしょうか?3週間毎日使い続けてこの程度です。しかし、この汚れはF163の構造によるところが大きく他のストーブではほとんど当てはまらない「症状」です。と、いうのも…

F163は炎を鑑賞できるようガラスを大きく取ってあり写真のように「灰受け」部分までガラス面です。煤やタール分は薪の燃焼により基本的には「焼き切れる」ため、ガラス面への汚れは付きにくいのですがF163は「灰受け」を覆う形でガラス面と接しているためガラス面下部が…
- 炉内でも「低温」になりやすい
- 炎が直接あたる事がない箇所
- エアーウォッシュの恩恵を受けにくい場所
等の理由からどうしても使い続けるとこうなってきます。しかし、外観上は所詮灰受け部分の汚れなので気になりません。
今回はこの汚れに対処していきます。
薪ストーブ掃除はこれで十分。
①クリーニング材
言わずもがなお分かりかと思います。
用意するのは…
ご存知どんどん出来る「灰」のみ。

因みに灰の有効活用、というか処理方法をまとめた記事はこちら↓
灰は「捨てるところが無い」のだなぁと思うわけです。昔の人の知恵には頭が下がります。
使えば出るものなので用意する物ではないかもしれませんね。
②拭上用ウエス(使い捨て布)
布ウエスやティッシュ・キッチンペーパーでも出来ますが
オススメは「パルプウエス」
- 吸水性があり柔らかく・破れにくく丈夫。
- 繊維が出にくくガラス面に残りにくい。
- 丁度良い厚さで一枚あれば拭ききれる。
- ストーブ以外にもアウトドア、家庭のキッチン周りで活躍できる。


類似品はおそらくどこのホームセンターでもあります。私も自宅の不要になったシャツウエス、ホームセンターPBパルプウエス等などいろいろ試してみましたが、このScottのが一番良かったです。
わざわざ買わなくても…という所ですが
○新聞紙・紙類
→吸水が悪い・クッション性が無く灰を付けて磨くとダイレクト過ぎてNG。
○ティッシュ
→何枚使えば良いのか…というレベルでお話にならない。
○キッチンペーパー
→ギリギリ使えるが薄すぎて、全ては拭ききれない。
○布系ウエス・雑巾
→メリヤス地でも繊維・糸クズが出やすく、結局拭き上げが必須になる。
といった各種実体験からこれだけは買ってもいいかな…と思います。一巻き24枚カット程度のものが多いのですが大体1シーズン持ちます。
[s_ad]薪ストーブ掃除(ガラス面)方法
では、実際にどんな感じで進めているのか・どれくらい綺麗になるのか。それらを順を追ってお伝えしていきます。
※ストーブが冷えた状態で行いましょう!
①ウエスを水につけて絞る。

このパルプウエスの良さは水につけて軽く絞ってもフワフワな所。ガラス面の水拭き・灰磨きでもストーブへのダメージがマイルド。しかも立体構造なので目地に灰がうまく入って綺麗に汚れが落ちます。
②汚れは軽度なものから順に。まず水拭き。

水拭きの手順は「最後に灰をつける」を念頭におきます。まずはガラス面にうす〜く付いている灰を拭き取る感じ。F163では正面とサイドガラス2枚を拭くと上の写真の様な汚れが付きます。
通常はここで掃除終了です。
今回はF163の持病に近いガラス下部のタール分も綺麗にします。

操作も簡単で触媒や暖気運転の必要が無いF163。この程度の持病は可愛いものです。
③ガンコな汚れには灰をちょっと付けて。

ちょっとだけで十分です。それだけで「クレンザー」みたいな状況になります。注意点としては「サラサラの灰」を付けましょう。
大体が燃え尽きているので気にしなくても大丈夫なのですが、今回のように熾(おき)が燃え尽きず炭として残っている場合は、灰の中に炭化したままの物がジャリっとある場合があります。これを付けてしまうとガラス面を傷つける場合があるので注意しましょう。
サラサラの灰をつけて軽い力で磨きます。


灰(はい)、この通り!!

掃除前の写真と比べると一目瞭然ですね。しかし、前述したように②の水拭きで大体は綺麗になります。日常のメンテはこの水拭きだけで十分です。
実際のストーブ掃除頻度
実際私の薪ストーブ掃除は溢れた灰掃除を除いて…
1週1回〜2週に1回程度
なのです。
場合によっては3週間は掃除しません。
と、いうのも厳冬期だと高温(天板230度〜270度前後)で巡航させるので…
ほとんど自然と焼き切れて綺麗になります。
↑結構重要。
よく考えれば普通の事です。
こちらの記事の写真を見ると分かりやすのですが、焚き付けから時間を追うごとに炉内の温度が上昇し、最後の方には天井部分の煤が焼き切れて綺麗になっていきます↓
例えば、私が料理をして「肉汁や油」が炉内に付着していたとしましょう。実際によく付いてますし、汚れます。しかし、私は掃除しません。
なぜなら使うと綺麗になるからです。
なので、掃除の頻度は想像以上に少ないと思います。
ではなぜ汚れるか…と言うと持病を除いて
- 焚べた薪が崩れてガラス面に付着した
- 薪が爆ぜてガラス面に灰が直接当たった
- 低温・短時間運転をした
という場合が大半で、気を付けて使えばさほど汚れません。
ただガラス面に薪が直接当たってしまうと、タール分が付着して取れにくい…という事はありますが、それでも焼き切れます。
薪ストーブを5年使っていますがケミカルは「一度」も必要ありませんでした。
クリーナーがあった方がいいのかな?と思った事はありますが、ガラス面が傷付く、という点でみても灰を付けて擦った程度では、私見するかぎりほとんど無傷に近い状態です。
[s_ad]熱反射のコーティングを施されているガラス面でも、そのコーティングは「外側」に施されており、内側の掃除で灰を使ったところでコーティングにダメージは無いでしょう。(ガラス会社さんのHP等で確認する事ができますが、心配な場合はストーブメーカーに問い合わせて見るのが一番です。)
薪ストーブムック本みたり、ストーブメーカーのアクセサリー群を見てしまうと「ケミカル売ってるんだから、あった方が良いのでは?」と思いがちですが、やはりそこまで必要なものでは無いと思います。
少なくとも私がガラス掃除用のケミカルを買う…と言う事はこの先も無さそうです。

まとめ
- 毎日掃除するほどガラス面は汚れない。
- 週1回掃除で多い方、3週1回の時もある。
- 大体の汚れは使用で綺麗に焼き切れる。
- パルプウエスがあっても良いかも。
- 機種によって慢性的な煤ポイントはある。
- 掃除は「灰」があれば他は特に必要ない。
薪ストーブのガラス掃除には「灰」さえあれば何とかなります。昔の人の知恵は本当にすごいですね。ただ、磨くのが面倒だったりガラスの保護を考えるならケミカルも一考の余地はあると思いますので、自分が良いなと思う方法が良いです。「薪ストーブが使いやすい」事が一番大切で、永く使っていける秘訣なのかな〜なんて5年目の若輩は思います(笑)
薪ストーブ導入の参考になれば幸いです!
それでは良い薪ストーブライフを!(挨拶)